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弱者のため合気道:なせばなる、やればできる!修身・斉家・治国・平天下への道を! [上杉鷹山]

約一年間、事情あって、まったく発声しないお子様ありました。それがある日、私が前に立つと、渾身の勇気を出していえました。

「で・き・る」 。

 

いつも子供クラス稽古の終わりに、元気良く唱和させていただく文言の一つに、次の上杉鷹山公のお言葉があります。

「なせばなる、なさねばならぬ、なにごとも。ならぬは人の、なさぬなりけり」

「これはどういう意味かな?」、私が問いかけると。

「やればできる。やらなければできない。だったら失敗しても良いから、やってみよー!」と、子供達は元気良く応えてくれます。

発生しないお子様の話は、御母さんがこのお子様に、 「できる」と練習を積み重ねてきたのでしょう。その積み重ねが、この日に限界点を超えたかのように発声したのです。突然のことに私は、本当に驚きました。窓の外を見ると、お母様が本当に嬉しそうな笑顔でした。

 

上杉鷹山公、この由来についてです。

上杉鷹山公の師匠は細井平州です。細井平州には「小言」という、漢文で書かれた随筆集があるそうです。彼が体験したり、人から聞いた感動的な体験をまとめたものです。その感動の中で最大の体験が、「上杉鷹山公の妻に対する日常の数々」です。ここに「なせばなる」の由来が書かれています。上杉鷹山公の奥様の名は幸。重度の心身障害者でした。

歴史小説家 童門冬二 「上杉鷹山の師 細井平州」に、そのことが紹介されてますので、以下に抜粋します。

日本も内政・外交ともに、改革が必要な今日、改革の源泉が何か、静かに見つめなおしたいです。

 

「さて、皆の衆」

平州はそういってひとあたり聴衆を見渡した。

「いま話したように、お館様の奥様は上杉家の家つき娘ではあられるが、お身体の具合がそういう状況だ。そこで皆の衆がまず考えるのはそういうお身体でご夫婦の生活ができるのだろうか、ということだろう」

そうぶつけるとみんなはいっせいにうなずいた。みんなはふつうの人間なのだから、当たり前のことを考える。それはいま平州がいった、

「ご不自由なお身体でおふたりは夫婦生活ができるであろうか」

であろう、平州はいい切った。

「できない。できるはずはない。そんなことはわかり切っている」

どよめきが起こった。平州は畳みこむ。

「では、何をなさっていたのか」

平州の眼が爛々と輝きはじめる。聴衆たちは圧倒された。唾を飲みこもうとすることさえ控えて平州の顔を凝視した。視線の集まりを十分に意識した平州はこう告げた。

「ご不自由な奥様に対し、お館様はじつに誰にもできないようなお慈しみを持ってお相手をなさった。たとえば」

ここで平州は懐から鼻紙を出して器用に折り、鶴をつくった。、その間何もいわない。鮮やかなその手つきに村人たちはホウと声をあげた。びっくりして互いに顔を見あわせる者もいた。学者先生が、まさかこんな鮮やかな手つきで折鶴をつくるとは思わなかったからである。

「こういう折鶴を奥様にお渡しになる。すると奥様はお喜びになって、手を打って折鶴をご自身で宙にとばしたりなさる。数が増えると、それを糸で結んで天井からお下げになることなどもあった。そして下で手を打って、折鶴に何か語りかけになる。わたしは毎日そういう光景をこの眼でみた。そして、お館様の奥様に対するおやさしいお気持ちを知って、何度もまぶたを押さえたものです」

「お館様はときに布で人形をおつくりになった。お館様は、そのまま奥様にお渡しになる。 つまり、顔の部分はのっぺらぼうのままで、別に眼鼻口もお描きにならない。ところがこのことはお館様にひとつの目的がおありになったのだ」

「奥様にとって、このお人形はじつに楽しみの品であった。なぜなら、お館様からこの人形を頂戴すると、今度は奥様がご自身の手鏡をお使いになって、自分の顔をお映しになる。同時に、お化粧のときにお使いになる眉墨や口紅をおとりになって、これでこの人形ののっぺらぼうな顔の部分に眼鼻口をお描きになるのだ。つまり奥様にとって鏡にお映りになったご自身の顔を、お館様から頂戴した人形におうつしになるお仕事が、いいようのないお喜びであったのだ」

「人形に眼鼻口をお描きになった後、奥様は今度はその人形をお館様にお渡しになる。そしてご不自由な言葉でこういう意味のことをおっしゃる。鏡に映ったわたくしの顔を、化粧道具を使ってこちらの人形にうつしました。ですから、この人形はわたくしでございます。ぜひご覧くださいませ、とお告げになる」

予想外の展開に村人たちは互いに顔を見合わせた。その気配を十二分に受けながら、平州はこういった。

「お館様は奥様にこうおっしゃった。この人形はあなたにそっくりです、とな」

どよめきが起こった。平州は告げた。

「このお館様の言葉に、わたしは深い感動をおぼえました。それはお館様がお感じになったのは、単に身体のご不自由な奥様が人形に顔をお描きになった、ということだけではないと思うからです。お館様が感動なさったのは、身体のご不自由な奥様が、そういう状況を越えて、まだ絵を描こう、という気持ちをお持ちになり、実行なさったことだと思います。お館様はこのとき奥様にこうおっしゃいました。これがほんとうの、なせばなる なさねばならぬ何ごとも ならぬは人のなさぬなりけり です、と」

平州を村に呼んだ金子伝五郎が静かにきいた。「お館様の言葉に、奥様はどうなさいましたか?」 平州は村人たちに向かったこう語りはじめた

「奥様は、難しいことはわからなくても自分の夫であるお館様が、やさしいお兄様だと思っていたのかもしれませんが、褒めてくださった、ということだけはおわかりになったのです。ですから人形をいとおしげに抱いたまま、何度もお館様にうなずかれました。そして眼からは止めどもなく涙が頬を伝いました。それで、お館様がご自身に鞭打って、本気で改革に向かおうという気持ちをお持ちになったのです」

この人形事件があった翌日、上杉治憲(鷹山)は江戸藩邸の武士を全部広間に集めた。手元には妻幸が顔を描いた人形があった。

「わたしはこの上杉家にきて以来、書類に出ている赤字額の巨大さに打ちひしがれ、正直にいえば心が萎えていたのである。が、きのう幸がこの人形の顔を描いたことによって、わたしの考えはガラリと変わった。改革は実行しなければ意味がない。実行あるのみだ。それには勇気がいる。

 あらゆる壁をぶち破って、わたしはこの改革をすすめたい。幸とのやり取りでわかったことがある。それは人間の気持ちを高め、そして誰かのためになにかをしようという気にさせるのは、愛だ。このことをわたしはつくづくと悟った。 わたしはまず幸のために改革をおこなう。そしておまえたちのために改革をおこなう。さらに、米沢藩民のために改革をおこなう。頼む、どうか協力して欲しい」

 

「改革の動機は愛だ」

ということはになれば、その個人はまず家族のために、隣人のために、地域のために、そしてもっと発展させれば藩(国)のために、自分を変えていくことになる。これがまさしく、

「修身・斉家・治国・平天下」しゅうしん・せいか・ちこく・へいてんか

の道をたどることなのである。

抜粋終り

これまで長年この仕事をしてきて、なぜ、わたしはこうしたことをしているのだろう?何度となく考えてきました。50歳を過ぎて、結局は「わたしは自分のためにこの仕事をしている」と、思います。自分のためといっても、両親の因果による部分が、大半ではないかと思います。

約八年前、母に痴呆の症状が出始めました。治療で精神神経科へ付き添ったときのことです。医師が母に子供時代からこれまでの記憶を、問診しました。母はうつむいて、子供時代のことなどを話すのですが、私が初耳の情報も多く、たいへん驚いたものです。

母は左股関節に障害があり、幼少のころより歩行困難でした。そのため満足に学校に通えなかったそうです。昔の農村ですから、隠れるように暮らしていたのでしょう。これを聞いて、わたしが幼少のころの点々とした記憶が、糸を引くように繋がりました。子供の頃、母がお手玉遊びを、実演してくれたことがありました。「てんてんてんまり てんてまり」、母は歌いながら、片手でも両手でも、自由自在にお手玉を投げたものです。わたしにはとても真似できないので、諦めてそのままでした。それが五十年近くたって、母が学校へ行けずに一人でお手玉遊びをしている姿が、リアルに想像されました。わたしはこんなことも知らなかったのかと、羞じいりました。

こうした母と私たち兄弟を養ってくれた父の働き、身の粉にして働いて苦しみを刻む日々であったと思います。老後も自立を貫徹する信念は、さすがに大正生まれの日本人だなと、他に表現しようがありません。

上杉家を相続した鷹山公が17歳当時に詠んだ和歌を紹介します。


「受け継ぎて国の司(つかさ)の身なれば忘るまじきは民の父母(ちちはは)」

民の父母の愛をもって、国の司となる決意表明です。

父母の愛を基本として、家庭が自立します。ここの家庭が自立して、地域がそして国が自立します。こうして国が自主独立し、他国とも協和して、平和な社会となります。これがまさしく、

「修身・斉家・治国・平天下」しゅうしん・せいか・ちこく・へいてんか です。

わたしはなぜ、この仕事をしているのでしょう?それは自分の自立のため、父母の因果に報いるため。父母に代わって、武道を通して自立する大切さ、自立する人を育てるためです。とりわけ合気道だから、弱者の役に立てることこそは、初心貫徹です。

最近やっと、そのことが明確になってきました。


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